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◆◆ ユーラシア・ウォッチ ◆◆
編集・発行:秋野豊ユーラシア基金
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第0号(サンプル版) 2002年6月1日
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◇Contents◇
・基金ホームページ更新情報
・エッセイ/ゆーらしあの風
伊東孝之「アフガン戦争の意味するもの」
・新刊書紹介
ラシッド『聖戦』・・・・・・ほか
・編集後記
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■基金ホームページ更新情報■ ○ニューズレター第6号が発行されました。
http://www.akinoyutaka.org/newsletter/newsletter6.pdf
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■エッセイ/ゆーらしあの風■
○アフガン戦争の意味するもの
伊東 孝之(理事、早稲田大学教授)
【基金ニューズレター第6号から転載】
米国とその同盟諸国軍によるアフガニスタン攻撃は、国際紛争の正当な解決方 法について新段階を画するものではないか。いつの時代にも紛争解決の正当な
方法と紛争解決の実際のあり方との間には齟齬がある。ここで問題としている のは前者の方である。
第二次大戦後は国連だけが紛争解決が正当かどうかの決定権を持つようになっ た。最も正当な解決は当然国連自身が採った行動である。それ以外にも国連の
要請に基づいた行動、国連の承認に基づいた行動など間接的であれ国連の権威 のもとに採られた行動だけが正当と見なされる。ところが、今回のアフガニス
タン攻撃はそのいずれにも該当しない。たしかに米国は国連憲章で認められた 自衛権の行使を引き合いに出している。しかし、そのための具体的な国連決議
があったわけではない。このあたりで、過去をふり返ってみることが助けとな ろう。
第二次大戦直後は国連軍に対する期待が高かった。それは国連自身による紛争 解決である。それには国連を担う主要国の協力が不可欠であったが、まもなく
冷戦が始まり、その前提が崩れたので、国連軍は画餅に帰してしまった。たし かに朝鮮戦争のときには「国連軍」が編成されたが、たまたま国連総会で決議
が採択されたときにソ連圏諸国が欠席したためにアメリカが錦の御旗を手に入 れただけのことであった。朝鮮「国連軍」は国連軍としての実体を欠いていた。
国連軍が画餅に終わってしまったので、実際に頻繁に適用されたのは平和維持 活動(PKO)である。平和維持活動は主として中立国、したがって軍事的には有力
でない国々に委託された。平和維持部隊は原則的にいずれの当事者に対しても 中立的で、戦闘には従事せず、当事者が合意した休戦事項の監視とか人道援助
とかに携わった。
紛争解決にとっての平和維持活動の価値はきわめて限定的なものであったが、 それでも平和が維持されたのは冷戦のおかげであった。二つの超大国の間の戦
争は不可能であり、それぞれの超大国が自分の勢力圏における平和維持に責任 を持つという体制が続く限りは大きな紛争が回避できた。
ソ連のペレストロイカ以後、一方の超大国が他方の超大国との均衡を維持し、 自己の勢力圏において平和を維持する能力も意欲も失いはじめたとき、平和維
持活動に変化が起きた。中小の中立国だけではなく、超大国やその陣営に組み する大国も平和維持活動に関わることができるようになった。故秋野豊氏が国
連政務官として旧ソ連構成共和国の一つであったタジキスタンに赴任したのは そのような状況下であった。
大国が参加するようになれば、単に消極的に平和を維持するだけではなく、積 極的に平和を強制できるかも知れない。平和維持部隊は必要とあれば戦闘にも
従事することが期待されるようになった。1993年にはソマリアに米軍中心の平 和執行部隊が派遣された。しかし、その限界はとりわけ旧ユーゴスラビア地域
における紛争で明白となった。
1990年の湾岸戦争のときに「多国籍軍」という新しい形式が生まれた。これは NATOが中心となって紛争解決を行うというもので、たしかに国連の武力行使容
認決議はあったものの、もはや国連中心の紛争解決ではなかった。旧ユーゴス ラビア地域では1996年以後、この形式が中心となり、1999年のコソボ紛争にお
いてはついに国連の事前承認なしに多国籍軍が行動を起こした。
アフガニスタンへの介入は形式上コソボ介入に似ているが、正当性という点で は国連の事後承認さえもない。もっぱら国民国家の自衛権発動という形をとっ
ている。しかし、相手は国民国家ではなくてアルカイダという宗教に基礎をお く国際組織である。アフガニスタンという国民国家がその国際組織の後ろ盾と
なっていたことが介入の理由となった。
紛争解決の正当性の基礎が揺らいでいる。米国の行動は9月11日事件によってロ シアを含めた先進国全体の支持を集めたが、その限りでの正当性しか有してい
ない。米国はイラク攻撃を企図しているといわれるが、それに対する西欧諸国、 ロシアの支持はもはやないだろう。もしこうしたことによって平和が維持され
るならば、米国を唯一の警察官とする単極支配の平和ということになるだろう。 しかし、それがますます多極化する世界において正当性を得るとは思えない。
そもそも国際テロリズムは国民国家の問題というよりもまずもって社会問題で ある。単なる軍事行動では国際テロリズムの根源を除去することはできない。
ユーラシアにおける紛争解決は今後ますます非国家主体の活動を必要とするよ うになると思われる。それはポスト冷戦時代における正当な紛争解決の模索と
軌を一にすることだろう。
(いとう・たかゆき)
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◆新刊書紹介
○アハメド・ラシッド『聖戦:台頭する中央アジアの急進的イスラム武装勢力』
講談社、2002年4月刊(2800円+税)402頁
ISBN 4-06-211160-8
今年Yale University Pressから刊行された翻訳本が早くも出版された。IMU(ウ ズベキスタン・イスラーム運動)、タジキスタン・イスラーム復興党、イスラー
ム解放党といった、旧ソ連中央アジアを中心に活動を続ける「武装」イスラーム 政治運動の動向について、ソ連時代からの経緯も含めてわかりやすくまとめてい
る。昨年9月の同時多発テロをふまえた筆致。「テロリズム」の背景にあるもの、 特にアフガニスタンに隣接する中央アジアの不安定要因について考えるための題
材となる。
○その他、次のような文献が刊行されています。
・『ロシア研究』第34号(特集:多様化の中のCIS)
日本国際問題研究所、2002年4月刊(2194円+税)
→末澤理事が論文「CISの10年と展望」を執筆しています。
・小島朋之ほか編『東アジアの安全保障(国際関係叢書・6)』
南窓社、2002年3月刊(3200円+税)
○このコーナーでは、現代ユーラシア情勢に関わる近刊の邦文文献をなるべく 網羅的にとりあげたいと思いますが、編集子の好みがどうしても出てくると
思うので、読者の皆さんからも情報をお寄せいただけると助かります。
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◆編集後記 秋野豊ユーラシア基金は1999年の発足以来、少しずつ独自の情報発信を行って きています。メルマガ創刊もその一環です。研究報告書『ユーラシアの平和と
紛争』、『秋野豊ユーラシア基金ニューズレター』と併せて、ご愛顧の程よろ しくお願いします▼創刊号は、6月10日頃発行予定です。たくさんの皆さんの登
録をお待ちしています。
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秋野豊ユーラシア基金ニュース 第0号(サンプル版)
2002年6月1日発行 発行元:秋野豊ユーラシア基金(代表 秋野洋子)
E-mail: info@akinoyutaka.org
http://www.akinoyutaka.org
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