評者:下山高正
冷戦後の日本の安全保障政策は、変化を中心に語られることが多い。だが、実は、伝統的な政策を変更する努力と、その根幹をできるだけ変えない努力という、両立困難な作業が並行的に進んできたことが、その最大の特徴なのだと
思う。日本人には、国際環境の激変が安全保障路線の修正を不可避にしたという認識とともに、専守防衛や非核政策といった、従来の平和主義の基本精神は極力維持したいとの願望も強かったのである。
とりわけ変化がないのは非核政策であろう。冷戦後、北朝鮮の核開発の深刻化に伴い、海外では、北が核を持てば日本の核武装も必至との見解がたびたび表明された。98年の印パの核実験は、新規核保有国への国際社会の反応の手ぬるさを示した。そして05年2月、北朝鮮は、ついに核保有を宣言した。にもかかわらず、日本の行動は、リアリストを中心とする国際政治の「常識」に反し続けている。政府に非核政策を見直す兆しはなく、国民の間でも核武装への支持は低い。なぜ日本は、非核の道を選び続けるのか。(続きを読む)
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